ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
10●あなたの「魂の願い」を教えてくれる魔法の質問
白いヒゲのおじさんは、ニコニコしながら言いました。
「これからたくさんの人が、自分の魂の望みをどんどん叶えていく。
そういう世の中になっていくんだよ。
みことちゃんも、地上に戻ったら、うんと楽しむといいよ。
ところで、みことちゃん。
ポケットに入れてる、その夢の実だけどね」
みことちゃんはギクッとしました。
「あははは。これね。
あのさ、ちょっとだけ、私さ、研究したくてさあ。
ちょっと、持ってきちゃったんだよ」
みことちゃんは、夢の実を一つ、内緒で持ってきたのでした。
なぜバレてしまったのでしょう?
「みことちゃん、よく見つけたね。
それは今、大人気の漫画家さんの夢の実だね」
「そ、そうだよね。ちょっと、この漫画家さんの夢を研究したくてさあ。
テレビでも見たことがあるし、素敵な漫画家さんだなあと思って…」
実は「見たことがある」どころか、熱狂的な大ファンなのです。
お小遣いやお年玉を全部つぎ込んで、かたっぱしから買ったコミック全巻。
それを何度も何度も読んで、登場人物の人生に、笑ったり泣いたり怒ったり…。
寝床でも、ベッドでも、ドキドキワクワクしながら読んでいました。
みことちゃんがあまりに夢中なので、最初は「そのくらい熱心に勉強すれば、算数で30点とか取らないで済むのにな」と言っていたお兄ちゃんまで、ついに、この漫画家さんの大ファンになってしまったほどです。
みことちゃんが内緒で持ってきた「夢の実」。
この「夢の実」の中には、なかなか芽の出なかった漫画家さんが、ついに、出世作を漫画雑誌に連載して、単行本が大ヒットして、アニメ化されて、日本中で大ブームになっていく過程が、映画のように収まっていたのです。
ちらっと夢の実の中身を見たときに、みことちゃんは、全身にビビビ!と電撃が走りました。
「この実さえ、手元にあれば、自分も同じように夢が叶うんじゃないか」
そんな気がしたのです。
「みことちゃん。
その夢の実は、その漫画家さんの、本当に素晴らしい夢だね。
その人は、本当に、夢中になって生きている」
「う、うん。そうだよね。
ご、ごめんなさい! つい持ってきちゃったの」
と言って、みことちゃんは、漫画家さんの「夢の実」を差し出しました。
「なんだい。全然、謝る必要なんかないよ。
夢を叶えた誰かに憧れることって、素敵なことだ! いいことだ!
それはね、みことちゃんの内側の深~いところが反応しているんだよ」
「えっ、そうなんだ!」
てっきり、「泥棒しちゃダメだぞ」って叱られるかと思ったみことちゃんは、拍子抜けしました。
「ははは。あのね、人の夢って盗めない。夢泥棒ってできないんだよ」
白いヒゲのおじさんはニコニコしてそう言ったかと思うと、突然、「ぽう!」と叫んで、踊り出しました。
「あれ? だんだん、本物のマイケル・ジャクソンのダンスに似てきた」
おじさんが踊るのを見ていて、みことちゃんも楽しくなって、自然と体が揺れてきます。周囲に生えているお花たちもリズミカルに揺れています。
「ぽう!」と言っておじさんはポーズをとって、ドヤ顔でこっちをみました。
「わしは、盆踊りも好きだけど、マイケルが本当に大好きでね。
わしだけじゃない。彼のことは大天使ミカエルが応援してるんだよ。
マイケルは、人種や国境を超えて、愛と平和と平等のメッセージを伝えた。
彼は家族のことで、いろんな苦労も味わった。
けど、それを乗り越えて、素晴らしい仕事をしたのさ。
ちなみにだけどね、マイケルとか、ミッシェルって名前の人はね、
大天使ミカエルが応援してるんだ」
「またまた~!おじさんったら、冗談でしょ」
「ほんとだよ。どんな人の名前にもステキな意味があるんだ。それでね。
マイケルのことが大好きだから、わしも、ますます踊るのが好きで、得意になったわけさ。ぽう!」
「ふ~ん」
「わしがダンスを踊る。だからって、マイケルのダンスに傷がつくわけじゃない。
マイケルのダンスが減っちゃうこともない」
「まあ、それはそうだね。
おじさんのがどんな変な踊りでも、マイケルが目くじら立てたりしないだろうし」
おじさんはかまわず続けます。
「憧れたり、尊敬したり、うらやましいって思ったりしたからって、誰かから罰せられることなんかない。
みことちゃんはね、その漫画家さんの魂と反応しあっているんだよ。
実は、お互いに助け合う、魂の仲間なんだよ」
「ええーっ!! どういうこと?」
「みことちゃんは、その漫画家さんの漫画を読んで感動する。
漫画家さんだって、読者さんがいなけりゃ、いい漫画を描けない」
「それは、確かにそうだね」
テレビで見た漫画家さんは、自分も漫画が大好きだし、読者の子どもたちが喜んでくれるから、徹夜が続いても全然平気だと目を輝かせながら言っていました。
「読者として楽しんで、応援するというのも、立派な夢の一つなんだよ。
そして、それは、漫画家さんの夢を叶えていることでもあるんだ。
それでね。ここからが肝心なことなんだけど。
誰かが夢を叶えているのを見たときに、あなたの心が動いたとする。
それはね。
『あなたも、それができますよ』っていう、魂のお知らせなんだよ。
人の夢に憧れたり、感動したり、真似したいとか、うらやましいと思ったりするのはね、自分も、その人とよく似た夢や、願いを持っているってことなんだ。
そして、その夢を叶えていけるっていう、魂のサインなんだよ。
自分に全然、関係ないことには、魂は反応しないんだ」
それを聞いて、みことちゃんはとってもうれしくて、ワクワクしてきました。
「魂ってすごいんだね。じゃあさ、そういう魂のお知らせって、他にもあるの?」
するとおじさんは「ぽう!」とひときわ大きく叫んだかと思うと、
グルグルグル~と何十回転も、コマのように回って、ポーズを決めました。
気のせいか、おじさんはちょっとフラフラしています。
みことちゃんも目が回りました。
「とってもいい質問だね!
ひとことで言えば、“喜びグルグル”ってのが特徴なんだよね」
「喜びグルグル~!?」
「そう。“喜びグルグル”っていうのはね。
自分が喜ぶ。周りが喜ぶ。地球の命が喜ぶ。
そういうような意味なんだけどね。
それはね、魂が、何回も何回も生まれてきてまで、叶えたいよ~!って願っていることなんだ。
で、それは誰でもあるし、今の生活の中から、とっても簡単に見つけることができるんだよ」
「今の生活の中で?」
「そうさ。これから、とっておきの「魔法の質問」を教えてあげる。
この魔法の質問を、自分の胸のあたりに、投げかけてごらん。
どんな時でも、必ず、魂が答えてくれるよ。
もし、その時にわからなくても、2~3日中に、ふと心に浮かんできたり、夜寝ている間に、夢に見たり、身の回りの誰かや何かから、お知らせがやってくるからね」
「へ~!おもしろそうだねえ」
「いいかい。では質問です。
【あなたの「魂の望み」を教えてくれる質問】
あなたがなぜかワクワクしてしまうことはなんですか?
あなたが憧れている人、尊敬している人はどんな人ですか?
誰かがやっていることで、応援したいことはなんですか?
小さい頃に、いつもやっていたことはなんですか?
親から、小さい頃によくやっていたねって言われることはなんですか?
それをやると考えただけで、なぜか楽しくなってくることはなんですか?
前からずっと、ずっと、やってみたかったことはなんですか?
死ぬまでに、やってみたいことはなんですか?
食事やトイレも忘れるほど、夢中になってしまう大好きなことはなんですか?
自然と上手にできてしまうことはなんですか?
普段から、お金をよく使っていることはなんですか?
お金の心配がなかったら、やってみたいことはなんですか?
人からよく頼まれることはなんですか?
人からよくありがとうって言われることはなんですか?
人から褒めてもらえることはなんですか?
やりたいと思ってるけれど、やるのが怖いことはなんですか?
なぜか心ひかれる、漫画や小説や映画は? その題材や主人公の生き方は?
一度は行ってみたい場所はどんな場所ですか?
人生で最高に嬉しかったのは、どんな時ですか?
なぜか心の一番奥にある、あなたの消えない願いはなんですか?
自分が乗り越えてきたことで、誰かに何かを提供できそうなことはなんですか?」
みことちゃんは、あんまり質問が多いので、グルグル目が回るような気がしました。
そんなみことちゃんに、おじさんは、笑いながら言います。
「ピンと来るのが1個でもあればいいんだよ。それをやってみることさ」
コラム・魂の望みのヒントは「今の生活の中」にある
「前世療法」(PHP研究所)というシリーズがあります。著者のブライアン・ワイス博士は、 魂、前世、輪廻転生、精霊、未来生といったスピリチュアルな事柄について、このシリーズに重要なヒントを記しています。
博士は、最初、子ども時代を思い出す催眠療法でキャサリンという患者さんを癒すのですが、彼女は突然、五千年前のエジプトでの人生を話し始めます。
キャサリンは、エジプトでの過去だけではなく、様々な時代、人種、性別の人生を送ったことを思い出すのです。それにつれて、キャサリンは、封じ込めていたマイナス感情からも解放されて、神経症から回復していきます。その様子は、驚きに満ちていて、ワイス博士自身にも変容を迫ります。
自分の本質を悟り、自分を愛し、人を愛して、「自分が本当にしたいことをして生きる」。これは誰にとっても、深い癒しと幸福感をもたらすのだと思います。
この本を翻訳した山川紘矢・亜希子先生夫妻は、次のことを教えてくれました。
「魂は、何回も生まれ変わる中で、いろんな経験をしてきます。
そして、今回、生まれてくるとき、お空の上で、今度は、これをやってみたい!今度は、こういう自分になろう!と、決めてきているんですよ。
それにぴったりの環境や、両親を選んでいるんですね。
じゃあ、その目的って何かというと、ヒントは、今の生活の中にあるんです。
宝探しのように、生活の中でヒントをたどっていくと、必ずわかるようになっている。自分自身で魂の計画を立てているんですね。
例えば、あなたが、自然と、上手にできてしまうこと。
あなたが、人から、これやってくださいってよく頼まれること。
なぜか興味があったり、好きだったりすること。カレーが好きとかね(笑)。
そうしたことって、実は、今回の人生だけじゃなくて、何回も、何回も、生まれ変わりながら、あなたは、そのことをやってきているんですよ」
今、明確な夢がない、夢がよく分からない、という方も、今の生活を丁寧に味わい、楽しみながら暮らすことで、だんだん見えてくるかもしれません。
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万を記録。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語はフィクションです。実在の人物、団体、出来事とは関係がありません