ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
4●白い犬が教えてくれた
とびきり元気になる5つのコツ
みことちゃんは、白い犬の「オジサン」のウンチを、シャベルを使って片づけました。
オジサンは、ウンチをしたことなど忘れたかのような涼しい顔をしています。
「よし、みことちゃん、今から、体をとびきり元気にする5つの方法を教えるからね!」といって、滑り台の上までチャチャチャッと駆け上がりました。
「えっ!?」
みことちゃんはあっけにとられて、滑り台の上にいるオジサンを見上げました。
「まず1つ目!」
白い犬のオジサンは、ワオーン!と1回、吠えました。
「よいウンチをすること!」
「えー、よいウンチ? よいウンチと悪いウンチってあるの?」
「よいウンチはバナナウンチ。1日1回は出るといいな。
で、ウンチをした後、体も心もすっきりさわやかになる。
これが、よいウンチだよ」
みことちゃんは、いつも便秘で苦しそうにしている中学生のお姉ちゃんのことを思い出しました。
「お姉ちゃんは、便秘が続くとニキビが出るって言ってたっけ」
「2つ目!」
白い犬のオジサンは、ワオーン!ワオーン!と2回、吠えました。
「よい姿勢でいること!」
「えー、よい姿勢? よい姿勢でいるってどういうこと?」
「背すじをシャンと伸ばすこと!
そうするとお空の上のエネルギーと、地面の下のエネルギーが、体の中でしっかりとつながるんだよ」
みことちゃんは、背すじがスッと伸びていて、いつもニコニコしている、ダンスの先生を思い出しました。
ダンスの先生は男子生徒からモテモテです。
「3つ目!」
白い犬のオジサンは、ワオーン!ワオーン!ワオーン!と3回、吠えました。
「ときどき深呼吸をする!」
白い犬の「オジサン」が、突然、滑り台の上で、
「はい、吸って~、吐いて~」と公園中に響き渡る声で言いました。
つられて、みことちゃんも深呼吸。
スズメや、野良猫の親子もつられて深呼吸しました。
「朝になったらお部屋と心の窓を開けて、深呼吸すること!」
みんなはこっくりうなづきました。
「はい4つ目!」
白い犬の「オジサン」は、ワオーン!ワオーン!ワオーン!ワオーン!と4回、吠えました。
「バランスよく食べること!」
「バランスよく食べる!? それってどういうこと?」
「食べ過ぎたらダメ! 食べなくてもダメ!
野菜も肉も魚もご飯も、ちゃーんと食べるんだよ!」
そう言いながら、「オジサン」は、背中にしょったリュックの中から、野菜も肉も魚もご飯も入ったお弁当を取り出して、
「いただきます!」と叫ぶと同時に、ムシャムシャ食べました。
みことちゃんやスズメや野良猫の親子は、「オジサン」がお弁当をおいしそうに食べるのをじっと見守っていました。
「よくかんで食べなさい!」と「オジサン」が顔をあげて叫びました。
みんなはあっけにとられました。
「大事なことを言うからね。
食べた後に、体があったかくなるのが、いい食事!
食べた後に、いいことがしたくなるのが、いい食事!
食後に体と心の様子を見ればすぐわかるよ。
それからね。
食材の命に感謝して、いただきます、ごちそうさまでしたのご挨拶を忘れない。
で、好きな人と食事すると、栄養になりやすいよ!
はい、ごちそうさまでした!」
白い犬の「オジサン」は、お弁当を食べ終わると、お弁当箱をリュックに丁寧にしまいながら、
「最後に、5つ目!」
と言って、大きく、ワオーン!ワオーン!ワオーン!ワオーン!ワオーン!と5回、吠えました。
「心が苦しくなるまでガマンをしないこと!」
「心が苦しくなるまでガマンをしない!? それってどういうこと?」
「例えば、みことちゃんをいじめてくる子がいるとするよね」
みことちゃんはドキッとして、最近少しいじわるな男の子を思い浮かべました。
「そういう時は、みことちゃん、つらいよね。
誰にも言わないでガマンしていると、ある日、みことちゃんの心が苦しくて苦しくて、壊れてしまうことがあるんだよ。
体も病気になってしまうことがあるんだよ」
「じゃあ、そういう時はどうすればいいの?」
「ママやパパや、お姉ちゃんやお兄ちゃん、
おじいちゃんやおばあちゃん、先生でもいい。
みことちゃんの味方になってくれる人に、つらい気持ちを話すんだよ」
「それだけでいいの?」
「まずは誰かに話をした時に、お空の上の神様もそれを聞いているんだよ。
それで、みことちゃんを助けようとする。
時間がかかったとしてもね。
お空の上の神様はみことちゃんを見捨てることは絶対にないよ。
みことちゃんは一人じゃないよ」
みことちゃんはそれを聞いて、心から安心しました。
「以上!終わり!」と言って、「オジサン」は滑り台の上から、ものすごい勢いで滑り降りてきて、みことちゃんの前にすっくと立ちました。
「今、話したことの逆をやっていると、病気になるんだよ。
でも、病気になるのは、『今やっていることに、何か間違いがあるかもしれないよ』という、神様からのお手紙なんだよ」
「えーっ? 神様からのお手紙なんだね」
「そうだよ。
なんで神様が、わざわざ、お手紙を出すのかっていうとね。
自分の心や体やたましい、命をもっと大事にできますよ。
もっと、自分の心や体やたましい、命を愛することができますよ。
あなたはそれだけ大切で、素晴らしい存在なんだよ。
あなたも神様なんだよ。
みーんな神様なんだよっていう、お知らせなんだ。
病気は、命をもっと大事にできますよっていうお知らせ。
これを難しい言葉でいうと、『自然回復運動』っていうんだよね。さっきも言ったけど」
白い犬の『オジサン』はそこまで話すと、「今日の授業はこれでおしまい!」と言って、リュックを揺らしながらトコトコと歩き出しました。
みことちゃんは慌てて、『オジサン』の白いしっぽを追いかけるように、あとをついて行きました。
(物語のエピソード4 ここまで)
コラム『もっとも得意とするところ』で、最大の困難を与えられる
みことちゃんや、みことちゃんの家族が出会っているような困難は、大なり小なり、誰の運命にも織り込まれているようです。
実は、健康雑誌を長年作ってきた僕も、100万人に数人という「デスモイド腫瘍」という、珍しい病気になった経験があります。
調べると、再発しやすい病気ということで、手術を受ける決断もできずに、死の影に怯えていました。
その治療と体力増強のために訪れたヨガ道場で、この物語の中にある「5つのコツ」を教わって実践し、奇跡的に回復することができたんです。
その際に、高名なヨガ治療家の方が、以下のような体験を語ってくれました。
「たいていの人は、その人が、『もっとも得意とするところ』で、最大の困難を与えられるようになっているようです。
きっと、『そこで、もっと学びなさい。あなたは、まだ学べることがあるのですよ』というふうに、神様が与えてくれてるんですね。
ですから、必ず、試練は乗り越えられるんです。
時間はかかるかもしれませんが、必ず乗り越えられます。
大丈夫です。大丈夫ですよ。
でも、その真っただ中にいるときは、とても苦しいんですよね。
その気持ちはよくわかります。
私は治療家ですが、自分の息子が頚椎亜脱臼という重い症状になったとき、なぜか、気づけなかったんです。
他の患者さんではありえないことですが、自分の息子の時だけ、わからなかった。
息子は、手術をして幸い、命拾いしました。
その恩返しをするために、今、息子は、医師になっています。
自分が治療家なのに、息子の症状に気づけなかった時、私は、ほんとうに、生きているのがつらかったです。
もう生きていたくないっていうくらい、苦しみました。
だけど結局は、それはよかったことなんです。
今はそういうふうに思います。
その最中はつらいです。
でも必ず良くなりますから、大丈夫ですよ」
(その5に続く)
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万を記録。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語はフィクションです。実在の人物とは一切関係がありません。