胎内記憶を持つ子どもたちから教わったことを元に書いた物語「あなたがお空の上で決めてきたこと」。
ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
2●お空の上で選んだ1つめの試練「病気」
みことちゃんは、ベッドの上に横たわっている自分を、空中から見ました。
真っ白いシーツ、真っ白いかけ布団、真っ白い天井。
「あれっ、ここ、どこだろう」
そう思った時に、ママが青白い顔をして、何かを言いながら、泣いているのが見えました。
みことちゃんの手を、ママはぎゅーっと握りしめています。
今度は、パパが、顔をくしゃくしゃにして、泣いているのが見えました。
お姉ちゃんとお兄ちゃんもいます。二人とも、びっくりしたような、引きつった顔をしています。
「みことちゃん、みことちゃん、
ママが代わってあげる。戻ってきて」
ママはそう叫んでいたのです。
みことちゃんは、強い「たまごアレルギー」を持って生まれました。
小さい頃から、アトピーやぜんそくがひどくて、検査してみたら、わかったのです。
みことちゃんは、給食でも、たまごを食べないようにしています。
「とても強いアレルギーがあります。命に関わります」とお医者さんに、ストップをかけられていたのです。
数日前、パパと一緒に、うどん屋さんに行った時に、いつものようにパパは、お店の人に「たまごは絶対に入れないでくださいね」と頼んでくれました。
ところが、何かの手違いで、ナルトの中に、たまご成分が少しだけ、使われていたのでした。
大好きな、鍋焼きうどんを食べた後、みことちゃんは気持ち悪くなりました。
たちまち、唇が腫れて、喉がふさがって息が苦しくなり、そのまま、みことちゃんは気を失ったのです。
「あ、それで病院に来たってことね。
みんなー、わたし、大丈夫だよ。ママ、パパ、おーい」
みことちゃんに、「みんなの心の声」が聞こえて来ました。
「私の命をこの子のために使ってください」
「パパが悪かった。戻ってきておくれ。
神様、この子が助かるなら、私は全てを差し出します。なんでもします。
どうか、この子だけは助けてください」
「みことちゃん! 俺、もうデブだって、からかったりしないよ!
本当は、お前のこと、大好きだよ」
「みことちゃん、わたしの漫画、なんでも貸してあげる。
ゲームもずっと自由に使わせてあげるから……」
白衣のお医者さんが、汗を拭き拭き、言います。
「お嬢さんのショック状態は、もう、とっくにおさまっているんですが。
目を覚まさない原因が、わからないのです」
すると、だんだん、お医者さんの声が遠のいていきます。
家族の姿や、病室の景色がぼやけて、周囲が、まぶしく光り輝いていきます。
なぜか、みことちゃんは、この上なく、幸せな気持ちになりました。
〜〜〜
気づいたらみことちゃんは、お空の上にいました。
「あれっ? どういうこと」
「やあ、やあ、みことちゃん。こうして会うのは、久しぶりじゃの」
「あっ、白いヒゲのおじさん!」
「うむ。どうだい、地上は楽しかったかい」
「え、そりゃもう。毎日、楽しかったよ。もちろん」
「そうじゃろうな」
「おじさん、とぼけちゃって。私と時々、内緒話してたじゃないの。
それよりさ、どうして、鍋焼きうどんの卵のこと、教えてくれなかったのよ」
「忘れちゃったのかい。ここで一回、こっちにくる予定になっていたじゃないか」
「え!? そうだっけ」
「やっぱり、みことちゃんも、忘れてたのか。
どうするかい、これでもう、こちらに戻ってくることもできる。
それとも、また、地上に行くかい。どっちでもいいんだよ」
白いヒゲのおじさんは続けます。
「どんな人でも、今回の人生の中で、もうお空の上に戻るか、
それとも、まだやりたいことがあるから地上で生き続けるかを、
少なくとも数回、選択しているんだよ」
「ちょっと、ちょっと、ちょっと!」と言って、みことちゃんは、雲の上から、地上を見下ろします。
すると、泣いている家族が見えました。
みことちゃんは、パパ、ママ、お兄ちゃん、お姉ちゃんの、心に光を当てて、みんなのいくつかの未来を見わたしたのです。
「もう、戻るに決まってるじゃない!
みんな、待ってるし、わたし、やりたいことがいっぱいあるんだからね!」
「そう言うと思ったよ。どっちでも選べるんだけどね。
これからいよいよ、ちょっと、大変なところに入っていくけど、
覚悟はできてるかい」
みことちゃんを見て、ニコニコしながら話している、白いヒゲのおじさんの姿は、だんだん、見上げるほどの巨大な光の姿に変わっていきます。
「では、帰る前に、いいことを教えてあげようか」
「うん!」
そう答えながら、みことちゃんは、自分自身も、大きな暖かい光になっているのを感じました。
(物語のエピソード2 ここまで)
コラム 「魂の視点」を持つと、深い癒しが訪れる
お空の上で、1つめのプレゼントの「試練」の中身として、みことちゃんが選んだのは、「病気」と、もう1つは、「両親の離婚」でした。
そもそも、なぜ、人は病気になるのでしょうか?
僕が編集長を務めていた「ゆほびか」は健康雑誌なので、大病を経験した人や、病気の人を奇跡的な方法で改善させている医師や治療家に取材することがあります。
例えば、医師の萩原優先生は、「前世療法」を活用して、ガン患者さんの回復をサポートされています。
前世療法とは、催眠状態になって自分が「お空の上にいた時のこと」や、生まれ変わりのことを想い出すセラピーです。
この「前世療法」を受けることで、自分の本質は、肉体ではなく、心でもない、永遠の存在……魂だと知っていくわけです。
そして、魂は、「何かの目的」を達成するために生まれ変わりを繰り返していることを、理解していくんですよね。
そうしたいわば、「魂の視点」を持つことで、病気の根本原因に気づくことができ、結果として、心身に深い癒しが訪れる…と萩原先生はいうのです。
萩原先生は、こんなことを話してくれました。
「重病の患者さんは、絶望感や孤独感といった、いわば「愛の欠乏状態」に陥ります。
ところが、まれに、残された時間、人生を思い切り楽しもうとする人がいます。
例えば、長年の夢だったヒマラヤトレッキングに行き、素晴らしい体験をしてきたと生き生きしている。
そして検査をすると、ガンが消えている!
本当にやりたいことをして、自然に治る人が、現実にいるのです。
もう一つ。
「自分はもっと愛することができる」ということを、自分自身や、周囲の大切な人々に教えるために、病気になることがあるようです。
これは、前世療法を受けた患者さんたちが、口々におっしゃることなのです」
〜〜〜
胎内記憶をもつ子どもたちは、次のように語っています。
●子どもたちが、この世界に生まれてくる理由
1)子どもは、親を選んで生まれてくる。親を助けるために生まれてくる (特に母親を助けるために)
2)子どもは、マイナスの連鎖を終わらせるために生まれてくる(闇を光に変えるために)
3)子どもは、自分自身の人生の目的を達成するために生まれてくる。親だけでなく、みんなを幸せにするために生まれてくる(地球を愛で包むために)
(その3に続く)
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語はフィクションです。実在の人物とは一切関係がありません。