胎内記憶を持つ子どもたちやスピリチュアルなマスターたち、大自然の精霊たちから教わったことを元に書いた物語「あなたがお空の上で決めてきたこと」。
ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
8●「心に咲く花」を育てると、あなたの夢は自然と叶う!
「 私、大きくなったら、世界中のたくさんの人が楽しくなって、元気になるようなことをやりたいんだ。それが私の夢。
夢を叶えるには、どうすればいいのか知りたい!」
そう尋ねたみことちゃんに、お空の上にいる白いヒゲのおじさんは、キラキラ輝く目をして答えました。
「みことちゃん。みことちゃんなら、きっとできるよ。簡単だよ」
「えっ!? 夢って簡単に叶うの?
私、夢を叶えるのって、すごく大変なことなのかなあって思ってた」
みことちゃんは、ずっと前、お兄ちゃんに、
「お前がその絵で漫画家になれるんだったら、
俺は宇宙飛行士になって月に行ける、いや、火星に行けるよ」
なんて、からかわれたことがあります。
みことちゃんは、プンプン腹を立てて、お兄ちゃんにノートを投げつけました。
「はははは。お兄ちゃんはそれ、冗談で言ったんだよ。
みことちゃんは、なりたいものになれるさ。
お兄ちゃんだって、行こうと思えば、本当にいろんな星に行けるんだぞ。
夢を叶えるのは大変だって、思いこんでる人は多いんだ。
あのね、夢を叶えるには、コツがあるんだよ。
大まかに言えば3つあるんだ。
じゃあ、まず1つめね。
それは、『「心に咲いてる花」を枯らさないこと』。
これをちゃんとやってれば、夢ってね、自然と叶っちゃうんだよ!」
「ええっ? どういうことよ。
だいたい、心の中にお花が咲いてるって……。
おじさんってロマンチストなのね」
「もちろんさ。だけどね、これは、ロマンでも、たとえ話でもないぞ。
みことちゃんの心の奥の方には、本当にお花が咲いているんだよ」
みことちゃんは、そう言われると、確かにそんな気がしてきました。
「あれ、私、胸の中に、白いお花がある気がしてきたよ」
「そうさ。わかったかい。どんな人でも、心の中にお花が咲いてる。
年齢も、性別も、人種も、性格も関係ない。
大きさも色もいろいろさ」
「えーっ? 意地悪な人とか、悪い人の中にも、お花が?」
「そうだよ。たとえトゲがあったとしてもね。
ぺんぺん草も生えてない砂漠、なんて人はいないんだよ。
ただね、お花がしおれちゃってる人や、
枯れかけて、ドライフラワーみたいになってる人はいる。
心のお花はけっこうデリケートだからね!
ちゃんと、面倒みてあげること!!
そしたら、いつまでも元気よく、大きく咲いて増えるから。
心に咲いてる花は、ほっといちゃダメ。いじめちゃダメ。
水をちゃんとあげなきゃダメ。
光や風を当ててあげなきゃダメ。
肥料もあげなきゃダメ。
ちゃんとやることさ! ちゃんとやらないと、枯れちゃうよ」
みことちゃんは、お家で飼っていたメダカや、金魚や、ザリガニが死んでしまった時のことや、観葉植物が枯れた時のことを思い出しました。
「もう。ちゃんと面倒みないからよ」と、お姉ちゃんに叱られたのです。
「えーっ。枯れちゃうだなんて、嫌だなあ。どうやって面倒みればいいの?」
「「心に咲いてる花」を元気にするためには、まずね。
大好きな人のことを思い浮かべてごらん」
「大好きな人?」
すると、パッと思い浮かびました。
台所に立ってるママ。
踊ってるパパ。
憎まれ口はいうけど、楽しいお兄ちゃん。
歌が上手で、優しいお姉ちゃん。
白い犬の「オジサン」。
児童館や図書館によく一緒に行く、友達のまどかちゃん。
おじさんはニコニコして言います。
「さあ今、どんな気持ちがする?」
「嬉しいっていうか、あったかいっていうか」
白いヒゲのおじさんが勢いよく言いました。
「みことちゃん! それが、心のお花に、お水をあげてるってことだよ!!」
「えーっ!?」
確かに、胸の中の白いお花が喜んで、みずみずしく、潤っている気がします。
得意そうにおじさんは続けます。
「じゃあ、嫌いな人のこと、思い浮かべてごらん」
「ええっ!?」
最近、いじめてくる、クラスの男の子が浮かんできました。
みことちゃんが卵アレルギーなのを知って、
「前世でニワトリだったんじゃないか!顔はたまごみたいだし。
妖怪ニワトリ女~。こけっ、こけっ」
とからかってくるのです。それで学校に行くのが嫌になるくらいでした。
「うー。あいつめ」
「みことちゃん。心のお花はどうなってるかな」
と、いたずらっぽい顔をして、おじさんが言います。
「えっとね、お花が嫌がって、ぐねぐねしてる」
「そうだろう。嫌いな人のこと考えると、心のお花も苦しがるんだ。
でもね、その男の子も、その子のパパとママにとってはかわいい息子なんだよね」
「ふーんだ。私はあんなやつ、大っ嫌い!」
「ははは。だからね、嫌いな人のことを、いつまでも考えないほうがいいんだ。
お花をいじめることになっちゃうからね。
それよりも、大好きな人のことを考える。
大好きな人と一緒にいる。
すると、心のお花は、どんどん元気になるんだよ」
「わかったよ!」
「じゃあね。次は、大好きな場所のこと、思い浮かべてごらん」
みことちゃんの心の中にはキャンプで行った、清里高原の牧場が浮かびました。
なだらかな緑の野原がどこまでも続いていて、遠くに山並みが見えます。
牛がのんびり草を食べています。
トンボが飛んでいます。
みことちゃんは明るい気持ちになりました。
白いヒゲのおじさんが勢いよく言いました。
「みことちゃん。それが、心のお花に、光と風を当ててるってことだよ!!」
「えーっ!?」
でも、確かに、胸の奥で、白いお花が嬉しがって、そよそよ揺れながら、スッキリ輝いている感じがします。
「じゃあ、嫌いな場所ってあるかい」
「あんまりないけど・・・あ、そうだ」
みことちゃんは、人混みが苦手です。
例えば、ママと一緒に、デパートの子供服のバーゲン会場に行くとぐったりしてしまいます。
「そういうとき、心のお花はどうなってるかい」
「えっとね・・・しおしおって、しおれた感じ」
「嫌な場所にいるだけで、心のお花はしおれるし、変色しちゃうんだ。
でもね、ママは、バーゲン会場では興奮して、ちょっと、楽しそうだろ」
「そっかー。人によって違うってことね」
「そういうこと。みことちゃん、ついでに言っておこうかな。
すごく気になる場所とか国って、魂にも深いご縁があるんだよ。
そこに行くと、その人の運命が大きく展開していくような出来事が起きるんだ」
「おもしろいね。私は、きれいな海と、涼しい高原が好きだなあ」
「次は、みことちゃんが大好きなことや、やりたいことを思い浮かべてごらん」
とたんに、みことちゃんはパッと明るくなりました。
「えっとね、一番好きなのは、漫画や本を読んでるときでしょ。
それから漫画を描いてるとき、お話のアイデアを考えてるときも大好きだし……」
そう言いながら、みことちゃんはお誕生日プレゼントの漫画家セットを思い出しました。
「あれで漫画をいっぱい書ける」
そう思うと、静かな幸福感が湧き出てきました。
みことちゃんの様子を見て、おじさんも幸せそうです。
「大好きなことをやるのは、心のお花の最高の栄養なんだ」
「あれっ? お花がすごく大きくなってる気がする」
「そうそう。
そのお花はね、無限に大きく育つし、増えるんだよ。
それを、人に分けてあげることもできるんだ。
でも、嫌なことを我慢したり、いやいや何かをやってる時には、お花はしぼんで、黒ずんでしまうのさ」
悪い魔女がよく切れるハサミで、みことちゃんのお花を切ろうとしているシーンが思い浮かび、慌てて打ち消しました。
おじさんはまた笑いました。
「大丈夫だよ。自分以外の人は、お花をダメにすることはできない。
いちばん、お花を枯れさせるのは、自分が自分自身を嫌う気持ちなんだよ。
じゃあ次は、みことちゃん。
お誕生日のお祝いの時を思い浮かべてごらん」
みことちゃんは、お誕生日の食卓を思い浮かべました。
みんなが「お誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう」って言ってくれます。
「あの時、本当に嬉しかった。生まれてよかったって思った……」
すると突然、目の前に、赤ちゃんを抱っこしているママの姿が、立体映像で浮かび上がりました。
赤ちゃんはおっぱいを一生懸命、吸っています。ママは、赤ちゃんに、優しくなにかを話しかけています。
赤ちゃんの胸の中、小さな白いお花が咲いているのが、みことちゃんの目に飛び込んできました。
「ああっ、この赤ちゃん、私だ。ママーっ」
みことちゃんの胸の中は激しく震えました。
「わーっ!すごくきれいじゃないか!見てごらんよ」
おじさんがそう言って、周囲を見回しています。
みことちゃんは、お空の世界のあたり一面が、お花畑のようになっているのに気づいて、言葉を失いました。
「心に咲いてるお花がすごく元気になると、こうやって、周りに広がるのさ!
すごいじゃないか!」
おじさんはホクホク顔で、どこから出したのか、どでかいジョウロで水をまいています。
「ウキウキするなあ。
人も神様も宇宙も、みんな、心に咲くお花が大好きなんだよ。
このお花がたくさん咲いてるところにはね、
ズバ抜けて幸運なこととか、世の中がびっくりするようなアイデアとか、
運命的な出会いが、ひっきりなしにやって来るんだよ。
チョウチョやミツバチがどこからともなく飛んで来るみたいにね!
だから、心に咲いたお花を枯らさずに、毎日ウキウキ生きているだけで、そのうち、夢は叶っていく。
宇宙がぜーんぶ、うまくいくように整えてくれるんだよ」
「要するに、いつも、胸の中があったかくて、明るい状態でいるといいのね」
「まあ、そうとも言えるが……、お花を喜ばせてあげなさい」
おじさんは、みことちゃんの目の奥を覗き込むようにして言いました。
「自分の心に咲くお花を虐待しながら、幸せにはなれない。
そんな状態で夢を叶えようとしても、なんのためにやってるのか、わからなくなってしまうんだ。
自分も周囲も疲れ果てたり、かえって不幸になってしまうことだってあるんだよ。
それよりはね、かけがえない、チャーミングなお花を大事にすることさ!
かえってそのほうが、自分が叶えたい夢も、どんどん叶うんだよ。
だから、自分が嫌なことを我慢しすぎたり、自分を責めたり、自分を嫌ったりしないことが大事なんだ。お花が苦しむからね」
おじさんの話を聴きながらみことちゃんは、ママのことを思い浮かべていました。
みことちゃんは生まれる前に、お空の上でママの心の中を見たことがありました。
ママの小さかった頃。
ママのお父さんとお母さんはよく、激しい夫婦喧嘩をしていました。
その時ママは、泣いている弟をかばいながら、「みんなを笑顔にできないのは私が悪いんだ」と思っていたのです。
みことちゃんは、そんなママに、大丈夫だよって言いたくて、ママのところに生まれました。
そして、みことちゃんが小学校に入った頃。
ママの弟がひとりぼっちで亡くなり、ママはその時も、自分のことを責めました。
毎日、お部屋で泣いていたのです。
その時から、ママの心のカゼがぶり返しました。
みことちゃんは、ママに抱きついてこう言いました。
「ママ、ママはとってもえらいよ。
ママ、そんなにがんばらなくていいよ。
ママ、大丈夫だよ。
ママ、みことちゃんはママが大好きだよ」
そう言うと、ママは心からほっとした顔をしたかと思うと、くしゃくしゃの表情になって言いました。
「ありがとう。そんなふうに言ってもらったの初めてよ。
みことちゃんとっても優しいのね、ありがとう」
ママはしばらく、うっうっと、小さい子のように泣きました。
みことちゃんはママのことをずっとずっと抱きしめていました。
「あのね、おじさん。
私は、あのとき、ママに心のお花をあげたんだね。
あれは、私の夢が叶った瞬間だったんだね」
おじさんは、深くうなずいて言いました。
「みことちゃん、心に咲いたお花を、誰かと分かち合えるってことは、人間の素晴らしい夢の一つなんだ。
それからね、いいことを教えてあげる。
悩みや苦しみという泥を肥やしにして、最高に美しい花が咲くんだよ。
その花は、多くの人を慰め、勇気を与える。
その花は、人が自分のお役割に気づいた時に咲くんだ。
この先もしもね、お花がしおれて元気がないなって思った時は、こうやって、お水と栄養をあげるといい。
両手を重ねて、胸に当てる。
そして、心に咲いてるお花に言ってあげるんだ。
『いつもよくやってるね。
とってもえらいね。
でも無理しないでいいんだよ。
大切だよ。
大好きだよ』
みことちゃんが、ママに言ってあげたように、自分自身に言ってあげるんだ」
「わかったよ! おじさん、だーい好き!」
「ありがとう!
言い忘れたけどね、わしのオススメは、普段から、歌ったり、踊ったり、笑ったり、楽しく過ごすことさ。
そうするとね、心のお花も一緒に歌うし、踊るし、笑うんだ」
そういうなり、おじさんはへんてこな踊りを踊って、歌って、大声で笑ったりしました。
盆踊りのような、でも途中から、マイケル・ジャクソン風だけど、似ても似つかない……、おじさんが「ぽう!ぽう!」と叫ぶと、あたり一面のお花も、一緒に歌ったり、揺れたり、さざめくように笑ったりしました。
ちょっとシュールで、調子外れなアニメ映画のようです。
みことちゃんは笑いながら、
「……おじさん、それ、みんなの前ではやらないほうがいいかもしれないよ」
おじさんはどこふく風で、満足するまで踊ると言いました。
「じゃあね、夢を叶えるための、次のコツを教えてあげよう。
『自分だけの夢の実を育てること』これが二つめのコツだよ」
それを聞いて、みことちゃんはドキドキワクワクしました。
みことちゃんは、漫画家になりたいのです。
「夢の実ってなあに?」
(物語8ここまで。物語9につづく)
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万を記録。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語は取材をもとに創作したフィクションです。特定の人物、出来事とは関係がありません