ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
はじめに
これはとても信じらないような話なんですが、私たちは生まれる前に、「これをやりたい!」ということを決め、誓いを立てて、夢と希望に燃えて生まれてくるようなのです。
そして「それ」を思い出せると、叶えたくて、叶えたくて仕方なかった「切なる願い」が、急速に、実現へと向かうようになっている、ようなのです。
例えば、「誰かと本当に愛し、愛される関係を持ちたい」。
「才能と魅力を存分に生かせるライフワーク(天職)に力を注ぎたい」。
「心も体も健やかに、笑顔で暮らしたい」。
「経済的にも、精神的にも、豊かでありたい」。
そうした願いの全ては、今回の人生で実現できるようです。必ずできる。
あなたがお空の上で決めてきたことを、思い出すことができたなら。
僕は月刊誌「ゆほびか」の編集長をやらせてもらいながら、ライフワークとして、童話や物語を創作してきました。
僕には5人の子どもたちがいます。
子どもたちが小さかったころ、眠る前に一緒にふとんに入り、小さい手を握りながら、僕が作った物語を話していると、みんな喜んで、毎日、楽しみにしてくれていました。
お話しているうちに、いつの間にかすやすや眠っていた、あの手の小ささ、暖かさ、確かさは忘れません。
そして、ふだん、子どもたちと話していると、時々、「意外なこと」を教えてくれることがありました。
「すごいなあ!」「僕より、ずっと魂が成長しているんじゃないか」と、ハッとさせられることも、多々あったのです。
彼らが教えてくれた「意外なこと」をもとに、一緒にお話を創っていったこともありました。
その中に「胎内記憶」をテーマにして作った話があります。
胎内記憶というのは、子どもが生まれる前のことを覚えていて、それを話してくれるんですよね。
例えば、こんな具合に。
「パパとママを選んだんだよ。ずっと、待っていたんだよ」
「ママとパパの声が聞こえたよ。パパ、ぞうさん歌ってたよ」
「ママに、大好き!って言うために生まれたよ」
この胎内記憶について、医師の池川明先生に取材したことがあります。
池川先生は、胎内記憶についての大規模な調査を行っています(2002年の調査。長野県諏訪市の保育園や幼稚園で838人、長野県塩尻市の保育園で、782人など) 。
池川先生は、こんな調査結果を教えてくれました。
・幼児の30%に、胎内記憶(お母さんのおなかの中にいたときの記憶)がある
・そのうち20%に、誕生記憶(生まれてきたときの記憶)がある
・そのうち20%に、中間生記憶(お空の上にいたときの記憶)がある
実は僕の子どもたちも、生まれる前の記憶を聞かせてくれたことがあります。
「お空の上でぴょんぴょん飛び跳ねていた」
「天使だった」と。
子どもたちが話してくれたエピソードを元に書き上げたのが、この物語です。
1●「私、あの人にママになってほしい!」
みことちゃんは、10歳の女の子です。
漫画が大好きで、絵を描くのが大好きで、ご飯とお味噌汁が大好きで、宿題が嫌いな、普通の女の子です。
でも、みことちゃんには、誰にも言えない秘密がありました。
実は、みことちゃんは、「お空の上にいる、白いヒゲのおじさん」と、内緒話ができるのです。
そして、みことちゃんは、「生まれる前のこと」を覚えているのでした。
今も時々、みことちゃんは、自分が生まれる前のことを思い出します。
みことちゃんは生まれる前、お空の上にいたのです。
そのことを思い出すだけで、みことちゃんは胸が暖かくなり、目に映る全部が、輝いて見え出すのでした。
さて、お空の上にいた時、みことちゃんは、薄いピンク色の雲の上で、ピョンピョン跳ねたり、小鳥たちや花たちとお話したりして遊んでいました。
ある時、雲の下を見ると、 みことちゃんは、とてもきれいで、笑顔がステキな、大人の女の人を見つけました。
しかし、その女の人は、ときどき、どうしようもなく悲しい気持ちになって、誰にも逢いたくなくて、ふとんの中で泣いていたのです。
みことちゃんは、女の人に、いままで何があったのかを、見ていきました。
みことちゃんは、その人の心に光をあてることで、過去に何があったのかや、未来に起きる可能性のある出来事が、見えるのです。
この女の人が小さかったころ。
女の人の、お父さんは、とても働き者でしたが、おうちの中ではイバリンボ。
お酒を飲んでは怒鳴っていました。
女の人の、お母さんはいつも体調がわるく、夫婦げんかばかりしていたのです。
小さい女の子が、自分も泣きたいのに、涙を一生懸命こらえながら、泣いている小さい弟を慰めている…。
そんな、この女の人の過去を見て、みことちゃんの胸はズキズキ痛みました。
お空のうえから、みことちゃんは、この女の人に応援を送りました。
「がんばってきたんだね。とってもえらいね!
わたし、あなたのこと大好き! 応援してるからね!」
やがて、女の人は、優しそうな目をした男の人と出会って、結婚しました。
「わあー! おめでとう! よかったねえ」。
みことちゃんは嬉しくて、ぴょんぴょん飛び跳ねました。
ところが、見ていると、なんだか、雲行きがあやしいのです。
男の人は、夜遅くまで帰ってきません。
とても忙しいお仕事で、徹夜でお仕事を仕上げることもあり、お家に帰ってこないことがたびたびありました。
家の中で、女の人は、ため息をついて、時々、いっぱい食べたりしては、吐いていました。
女の人が何かのビンや錠剤を戸棚にかくしていることを、みことちゃんは知っていました。
この女の人を助けたい!
みことちゃんは、いてもたってもいられなくなりました。
すると、突然、白いヒゲをはやしたおじさんが目の前に現れました。
びっくりしている、みことちゃんに、白いヒゲのおじさんは言いました。
「みことちゃん。あの、女の人の、子どもになりたいかい?」
みことちゃんはすぐに答えます。
「うん、なりたい!
あの人が、わたしのママになってほしい!」
すると、白いヒゲのおじさんは言いました。
「みことちゃんは、これまでの人生で、いいことをいっぱいしてきた。
だから次は、どんなところでも、好きなコースを選べるんだがね。
もちろん、あの女の人のところに生まれてもいいんだけど、大変かもしれないよ。
なぜなら、あの女の人には“光の使命”がある。
そして、あの男の人もそうなんだ。
あのママとパパのところに生まれる、みことちゃんも、
“光の使命”の道を歩むことになるだろう。
大変だと思うことや、悲しいと思うこと、
寂しいと思うこともあるかもしれない。
でも、そのことで、みことちゃんの魂は大きく成長していくよ。
どう、覚悟はできたかな? 」
「うん! わたし、なんでもやるよ!
あの人がわたしの、ママになるのね! わーい!」
「そういうと思ったよ。わかった。
では、みことちゃん、この宝箱を持っていきなさい」
白いヒゲのおじさんは、光り輝く箱をいくつか並べました。
「わあ、きれい! これ、もらっていいんですか?
もう生まれていいですか?」
みことちゃんはぴょんぴょん飛び跳ねます。
「時が満ちるまで待ちなさい。
3つのプレゼントを選べるからね。
じっくり選ぶといいよ」
白いヒゲのおじさんはそう言いました。
みことちゃんは、すぐにでも飛んでいきたかったのですが、お空の上で、おじさんのOKが出るまで、待つことにしました。
「3つのプレゼント」の中身を選び終わったみことちゃんは、お空の上でブランコに乗っていました。
すると、二人の子どもが近寄ってきました。
その顔は、光り輝いています。
みことちゃんは二人を見て、とても懐かしく感じました。
「あ! あなたたち!」
「やあ、みことちゃん。今回は、僕たちがお姉ちゃんとお兄ちゃんになるよ。
先に行って待ってるからね」
(物語のエピソード1 ここまで)
コラム 子どもが、この世界に生まれてくる3つの理由
さて、みことちゃんが選んだ「3つのプレゼント」とは、なんだったのでしょうか?
一つめのプレゼントは、「試練」と呼ばれるものです。
みことちゃんが選んだ試練は、「病気」と「両親の離婚」でした。
人生では、うれしいことも楽しいこともたくさんありますが、苦しいことも、悲しいことも、たくさん体験します。
のたうち回るようなつらいこと、身も心もちぎれてしまうのではないかという苦しみ……。
もしかしたら、今、そのただなかにいるかたもいらっしゃるかもしれません。
僕も、離婚を経験し、子どもたちと離れて暮らす決断をした時は、「死んでしまいたい、自分が死ねば全て解決するんだ」と思っていたことがあります。
病気。離婚。失業。家族の悩み。人間関係の苦しみ。お金の苦労。
そうした体験すべては、実は、自分で選んできたもの…そんな考え方は、なかなか受け入れがたいものです。
けれども、どうやら、そうらしいのです。
白いひげのおじさんがくれた、二つ目のプレゼントは、「 自分の中になぜか湧いてくる、ワクワクする気持ち」です。
そして、三つ目のプレゼントは、「ソウルメイトとの出会い」です。
胎内記憶を持つ子どもたちの話によると、子どもたちは、この「3つのプレゼント」を大切に持って、この地上に生まれてくるようなのです。
1つめのプレゼント「試練」
2つめのプレゼント「自分の中になぜか湧いてくる、ワクワクする気持ち」
3つめのプレゼント「ソウルメイトとの出会い」
そして、この3つのプレゼントの「中身」は、自分で選べるのです。
では、そもそもなぜ、こうした3つのプレゼントをたずさえて、子どもたちは、この世に生まれてくるのでしょうか。
胎内記憶をもつ子どもたちは、次のように語っています。
●子どもたちが、この世界に生まれてくる理由
1)子どもは、親を選んで生まれてくる。親を助けるために生まれてくる (特に母親を助けるために)
2)子どもは、マイナスの連鎖を終わらせるために生まれてくる(闇を光に変えるために)
3)子どもは、自分自身の人生の目的を達成するために生まれてくる。親だけでなく、みんなを幸せにするために生まれてくる(地球を愛で包むために)
(その2に続く)
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語はフィクションです。実在の人物とは一切関係がありません。