心と体を整えるだけでなく、人間そのものの成長や変容にも深く関わる瞑想法として、世界で注目を集めています。今回は、日本におけるプレクシャ瞑想の第一人者であり、『勝利者の瞑想法』の著者としても知られる坂本知忠先生に、その本質と魅力、そして瞑想の際に唱える素晴らしいマントラ「アラハン」について伺いました。
聞き手:西田普
「自分で自分のお医者さんになる方法」
西田
今日は、日本におけるプレクシャ瞑想の第一人者でいらっしゃる坂本知忠(さかもと ともただ)先生をお迎えして、2600年続く非暴力の霊的伝統の中から生まれたプレクシャ瞑想、そしてその中で大切にされているマントラ「アラハン」について伺っていきたいと思います。坂本先生、よろしくお願いいたします。
坂本先生
よろしくお願いいたします。
西田
ありがとうございます。まず最初に、プレクシャ瞑想とはどのような瞑想法なのか、そしてなぜこれほど幅広い効果が語られているのか、そのあたりから伺えたらと思います。心や体が健康になるだけでなく、人間そのものの成長や変容にまで関わってくるのが、プレクシャ瞑想の大きな特徴と言えるのでしょうか。
坂本先生
そうですね。瞑想して一番の効果は、まず心と体が健康になることです。これは大きな恩恵ですね。自然にもたらされるものです。だから、自分で自分のお医者さんになる方法です。
西田
自分で自分のお医者さんになる方法、というのは印象的なお言葉ですね。
坂本先生
そうです。今みんなが悩んでいるのは、病気のことの悩みと心の悩みですよ。これは本当は、自分で解決するしかないんです。もちろん、今の社会ではそう簡単な理屈では通じませんけれども、本当のことを言えばそういうことなのです。
病気や悩みへの見方が「180度変わる」
西田
なるほど。プレクシャ瞑想を続けていくと、そうした悩みとの向き合い方も変わってくるわけですね。
坂本先生
ええ。健康っていう概念とか、病気っていう概念、それから悩みなんていう概念が、180度変わっちゃうってことです。
西田
概念そのものが変わる、と。
坂本先生
そうです。本来の内なる自分の力に気づいて、なんて自分の内側にこんなに素晴らしい力があるのか、ということに気づくわけです。それが大事なんですね。
現代人は「自分を見失っている」
西田
現代人にとっては、とても大きな示唆ですね。いま多くの人が、不安や悲しみ、怒りなど、さまざまな感情の苦しさを抱えていると思います。そうした心の苦しみに対して、プレクシャ瞑想はどんな助けになるのでしょうか。
坂本先生
私自身も、若い頃に一年間、肺結核で隔離病棟に入っていました。そのときはもう絶望ですよ。この世の中なんかなくなってしまえばいい、というふうに思いました。でも、プレクシャメディテーションをして、だんだんいろんなことがわかってきたら、180度概念が変わっちゃったってことです。病気に対する概念が変わっちゃったってことです。
西田
先生ご自身のご体験から来るお話なのですね。
坂本先生
そうです。だから現代人にとって一番の問題は、自分を見失っているということ。それから世界を間違って見ているということです。自分とは何か、なんで自分がここにいるのか、それがわかって、世界を正しく見ることができたら、それだけでも全然違います。
究極の目的は「原因と結果の法則から外れる」こと
西田
とても深いですね。では、そのプレクシャ瞑想の究極の目的とは何なのでしょうか。
坂本先生
究極の目的は、すごく難しいんですけど、インドの言葉で「アカルマ」になるってことです。原因と結果の法則から外れる、解放されるということです。
西田
原因と結果の法則から外れる、というと驚きます。
坂本先生
私たちは、生まれて、死んで、また別のものに生まれて、また死んで、という輪廻転生を繰り返している。そこから外れるということです。それをモークシャと言うんです。悟りよりももっと高い境地ですね。完全なる自由、全知全能、そして至福に満たされた歓喜の状態。私たちが本当に望んでいることが全部ある状態です。
理論だけではなく「方法」がある
西田
プレクシャ瞑想は、その方向へ向かうための道でもあるわけですね。
坂本先生
そうです。しかも理論だけじゃなくて方法がある。そこが大事なんです。うまく自分をコントロールする、自己コントロールの道ですね。
西田
理論だけでなく方法がある、というのは本当に大きいですね。頭で理解するだけではなく、実際に歩んでいける道がある。
坂本先生
そうです。その道を歩むだけで、自信が持てる。自分とは何かがなんとなくわかってくる。世界が今までとは違って見えてくる。内なる知恵が教えてくれるようになるんです。
「探しもの」は外ではなく内側にある
西田
私は実際に先生から学ばせていただいて、プレクシャ瞑想をしていると歓喜が湧き上がってきたり、友愛の気持ちが出てきたりするのを感じています。すごく不思議で、でも確かな変化ですね。
坂本先生
そうです。人はみんな、探し求めているものを見当違いの場所で探しているんです。外をいくら見たって何もない。あるのは自分の内側ですよ。内側を探求しないと、何のこともわからない。そういう話なんです。
「魂を清らかにする」とはどういうことか
西田
ここで、瞑想の前に唱える言葉についても伺いたいと思います。プレクシャ瞑想では、「私は魂を清らかにするためにプレクシャメディテーションを行います」という意味の言葉を唱えますよね。この“魂を清らかにする”とは、どういうことなのでしょうか。
坂本先生
ジャイナ教の哲学では、世界は物質と非物質でできていると考えます。本当の魂は非物質です。でも、その非物質な魂に物質が結びつくことによって、汚れた魂ができるんです。その汚れた魂のことを霊魂と言うんですよ。魂は清らかなんだけれども、それが汚れちゃうから霊魂になる。そこから元の純粋な非物質に戻ればいい。それが解放です。
西田
つまり、私たちは本来清らかな魂だけれども、そこにいろいろなものがくっついて今の自分になっている、ということですね。
坂本先生
そうです。よく水にたとえて話すんですけど、水は本来透明です。でも、そこにいろんなものが混ざると、お酒になったり、ジュースになったり、コーヒーになったりする。同じように、人間もカルマ物質がくっついちゃっているから、一人ひとり違う個性になるわけです。だからただ一人として同じ人間はいないんです。
アラハンは「人間として最高の状態」
西田
では次に、アラハンというマントラについて伺いたいと思います。これは先生からも教えていただいていますし、私自身もとても力を感じている言葉です。アラハンとは、そもそもどういう意味なのでしょうか。
坂本先生
アラハンはサンスクリット語です。中国を経て日本に入ってくると阿羅漢、そこから羅漢になるんですね。日本では修行しているお坊さんのような意味で受け取られていますけれども、本来はそうではない。人間として最高の状態になった人のことをアラハンと言うんです。全知全能とか、完全智者とか、勝利者とか、そういう意味ですね。
西田
では、人間としての最終目的地のような言葉でもあるわけですね。
坂本先生
そうです。生きている人間の目指す場所があるはずなんです。それがアラハンです。
唱えれば唱えるほど、少しずつ近づいていく
西田
そのアラハンを、私たちが日々唱えることで、何が起きるのでしょうか。
坂本先生
これは一歩一歩アラハンに近づくんです。唱えれば唱えるだけ近づく。声に出してもいいし、出さなくてもいい。アラハン、アラハンと言っていればいいんですよ。そうすると、そのアラハンのパワーが潜在意識に根づいていって、ほんのちょっとずつでも近づいていくんです。
西田
目的地を魂に教えていくような感じですね。
坂本先生
そうです。目的地がなければ着けません。最高の目的地を設定して、それに向かって近づく努力をするわけです。アラハンになるためには、アラハンと言えばいい。自分がアラハンになりたかったら、アラハンと言っていればアラハンになっていくんです。
集中が深まり、瞑想が深くなる
西田
私は、歴代のアラハンたちが助けてくれるような感覚も少しあるのですが、それもあるのでしょうか。
坂本先生
そういうこともあるでしょうね。アラハンになった人たちはたくさんいますから。遠くから援助の手を差し伸べてくれる、そういうことはあると思います。
西田
日常の中で、たとえば心がぶれたときや、自分を律したいときにアラハンと唱えることも助けになるのでしょうか。
坂本先生
もちろんです。それから、深い瞑想に入っていくための助けにもなります。アラハンという言葉に集中する。これがダラーナ、つまり集中の技法になるんです。それによって心と体が統一されて、次の深い瞑想の状態が起こってくるんですよ。
西田
私も実際に、アラハン、アラハンと唱えていると、何とも言えない歓喜が湧いてきたり、光の中に溶けていくような感じがあったりします。
坂本先生
そうです。最初は声を出して唱える。次に沈黙して唱える。また声を出す。これを何回か繰り返すと、完全に瞑想の世界に入っていきます。最初は光が見えたり、色が見えたり、体の中に変化が起きたりしますが、その先があるんです。深い状態に入ると、動きが止まって均一になる。そこがまた大事なんですね。
初心者はまず「呼吸を見る瞑想」から
西田
では、初心者の方が最初に始めるなら、どこから入るのがよいでしょうか。
坂本先生
呼吸を見る瞑想をやったらいいですね。本当に効果があるのは呼吸法です。呼吸っていうのは誰もがやってることだから、そこから入れるんです。呼吸が嫌いという人もいないし、好きという人もいない。みんなやってることですからね。その呼吸を最高の呼吸にしていけば、ああ、こういうやり方があったのか、というふうにわかってきます。そこから瞑想が進歩していくんです。
西田
なるほど。呼吸は、いちばん自然な入口でもあるのですね。
坂本先生
そうです。生命力の流れがよくなれば、体も変わるし、頭もクリアになるし、悩みも少なくなっていきます。そうすると、次はもっと深いところを知りたくなる。それが瞑想に入っていく自然な流れじゃないですかね。
ジャイナ教が貫く「徹底した非暴力」
西田
最後に、プレクシャ瞑想を生んだジャイナ教についても伺いたいです。ジャイナ教は、徹底した非暴力で知られていますよね。
坂本先生
ええ。ジャイナ教は、魂があること、輪廻転生があること、そしてカルマがあること、この三つを非常に大事にしています。そうすると、すべての生き物は本質において同じなんです。人間も生き物ですし、みんな生きたい、長生きしたい、病気したくないと思っている。そうであれば、決して他をいじめてはならない、暴力を振るってはならない、という話になるんです。
西田
だからこそ、非暴力が根本の教えになるわけですね。
坂本先生
そうです。世界一平和な宗教と言われるのはそこです。宗教の名のもとに戦争をしたことがない。そこまで徹底しているんです。
無所有・無執着の先にある平和
坂本先生
さらに、無所有、無執着ということも大切にします。私たちはいろんなものを欲しがるし、いろんなことに執着する。でも、無常を徹底的に理解すると、本当は所有できないし、執着もできないってことがわかるんですよ。
西田
なるほど。とても本質的なお話ですね。
坂本先生
そうです。だから、世の中を変えようとするからなかなかうまくいかない。まず一つは自分を変えるっていうことですよ。自分を平和にして、自分の周りにその平和の灯火を広げていく。助けるというより、協力しましょう、仲間でしょう、友達でしょう、ということです。
プレクシャ瞑想は「世界平和の道」
西田
プレクシャ瞑想は、自分を整える道であると同時に、すべてと友達になる道でもあるわけですね。
坂本先生
そうです。友達になる道です。世界平和の道ですよ。
西田
4月26日(日)の、先生から直接、瞑想を学んでいただけるイベント(下記)も楽しみです! 今日は本当に、素晴らしいお話をありがとうございました。
坂本先生
ありがとうございました。
坂本知忠先生
日本プレクシャ・ディヤーナ協会会長
1946年、千葉県浦安町にて誕生。早稲田大学第二文学部、病気療養のために中退。不動産会社経営のかたわら、沖ヨガを中心に、ヨガの学びと実習を続ける。1983年、沖ヨガ修道場にてプレクシャ・メディテーションに出会う。インドに15回にわたって渡航してプレクシャ・メディテーションを習得。「勝利者の瞑想法」など著書多数。2015年、プレクシャ・アウォード受賞(日本人として初めて)。ヨガの指導歴40年以上。プレクシャ・メディテーションの指導35年。
坂本先生ご出演
健康と運命を好転させる ヨガ&瞑想スペシャル
〜一生使える実践法を、二人の達人から学ぶ貴重な機会〜
健康を整えたい!
心を前向きにしたい!
・・・できれば、人生の流れ、運命までよくしたい。
そんな願いをお持ちの方に、
とても特別なお知らせがあります。
4月26日(日)、鎌倉・光明寺とオンライン(見逃し配信あり)で、
健康と運命を好転させる
ヨガ&瞑想スペシャルイベントを開催します。
今回は、
沖ヨガの達人・佐藤松義先生、
そしてプレクシャ瞑想の第一人者・坂本知忠先生をお迎えして、
健康、心の安定、
本来の自分(ハイヤーセルフ)とのつながりを深めていく、
とても貴重な一日をご一緒します。
これから先の人生の健康をしっかり守りたい。
メンタルをしなやかに強くしたい。
人間関係や仕事の悩みを、根っこから解決したい。
自分の魂が望んでいる本当の人生を生きてみたい。
そんな願いのある方に、
ぜひ受け取っていただきたい内容です。
鎌倉&オンラインで開催
健康と運命を好転させる ヨガ&瞑想スペシャル
一生使える実践法を、二人の達人から学ぶ貴重な機会
●日時と場所2026年4月26日(日)11:00〜16:00頃予定
鎌倉・光明寺&オンライン(見逃し配信あり)
ゲスト講師
沖ヨガの達人・佐藤松義先生
プレクシャ瞑想の第一人者・坂本知忠先生
ナビゲーター 西田普
お申し込みは以下のリンクからどうぞ
https://eventpay.jp/event_info?shop_code=0798051297190621&EventCode=C080219527