胎内記憶を持つ子どもたちやスピリチュアルなマスターたち、大自然の精霊たちから教わったことを元に書いた物語「あなたがお空の上で決めてきたこと」。
ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。

7●「お空の上で決めたこと」をあなたが忘れてしまった理由

「おーい!おーい!みんなー!」

みことちゃんは、お空の上から一生懸命、地上の家族へと呼びかけました。

「どうしたんだい、みことちゃん」

「え? ほら、ママも、パパも、お兄ちゃんも、お姉ちゃんも、

あんなに真っ青になって泣いているし、私のこと、すっごく心配してるからさあ」

白いヒゲのおじさんは、雲の間から、地上を眺めました。

みことちゃんのお家では、ぜんそく発作を起こして、ソファの上で意識を失っているみことちゃんを囲んで、みんな大騒ぎになっています。

「うんうん。それで、そんなに一生懸命、呼びかけてるのかい」

「そうだよ。みんなに、大丈夫だよ、私はここにいるよって伝えたくて」

「みことちゃんの呼びかけは、みんなの魂に、ちゃんと響いていると思うよ。

地上の人がね、亡くなった人を思い浮かべることがあるだろう?

悲しくなったり、懐かしくなってほほえんだり。

実はその時、あの世から、亡くなった人の魂が、地上に呼びかけているんだ。

『自分はここで幸せでいるよ。だから、あなたは力一杯、幸せに生きて』ってね」

「ええーっ!そうなの?知らなかったよ」

「だけど、みことちゃん、今回、しばらくしたら、地上に戻るつもりなんだろう?

このまま、“生まれ変わりコース”に行ってもいいし、どっちでも選べるけどね」

「私、地上に戻って、やりたいことがいっぱいあるんだ。

お空の上で自分が決めたこと、やりきっていないと思う」

白いヒゲのおじさんはニコニコしています。

「それならわしは、いつでも、どこでも、どんなことでも、喜んで、みことちゃんを手伝ってあげるよ」

「おじさんって、とっても親切なんだね~!」

そう言われて、おじさんは、白いヒゲをいじって嬉しそうにしています。

「そりゃ~そうさ! わしらは決して、いじわるしたり、邪魔したりしないよ。

人も、動物も、植物も、虫も、魚も、鳥も、微生物も、星も、銀河も、

自分自身で、『これをやりたい!』って決めたことを叶えたくて、生まれるんだ。

そして、死んでいく。

それを何回も何回も、繰り返して、魂は、成長していくんだよ。

その全部を手伝うのが、わしらの大好きな仕事なんだよね」

おじさんが夢見るような瞳をして、そう言っている間に…。

地上の世界には、白い雲が流れ、雨が降り、雨が上がって、大きな虹がかかりました。

雲の影が地上をゆっくりと移っていく様子。

雨が畑をしっとりと濡らす様子。

お日様の光が差し込み、虹を子どもたちが見上げる様子。

その全部を、みことちゃんは、お空の上から見ました。

「おじさんって、時々、ステキなことを言うのね。

あのね、私、お空の上にいるうちに、確かめておきたいことがあるんだ。

それにね、さっき、おじさん、

“人は夢の中でアイデアを受け取ることがある”って教えてくれたでしょう。

私、ああいうことを、たくさん覚えて、地上に戻りたいな。

あのう、おじさん……いろいろ、教えてほしい。教えてもらってもいいですか」

「ああ、もちろんいいよ。なんでも聞いていいよ。

まあ、もともと、みことちゃんが、生まれる前に知っていたことを教えるだけだけどね」

「え!? 私、お空の上でのこと、かなり覚えてるほうだと思ってた。

忘れちゃってるってこと?」

「そうだよ。でも忘れるのは、悪いことじゃない。むしろ、必要なことさ。

ほとんどの人は、生まれた後、お空の上のことは全部忘れる。

みことちゃんは、ママを助けたくて生まれてきたことや、

お空の上で3つのプレゼントを受け取ったことは、よく覚えているね。

でも例えば、“たましい家族会議”のことは、すっかり忘れている」

「たましい家族会議ってなに?!」

「生まれる前に、家族みんなで開く会議のことだよ。

そうやってね、お空の上で決めたことを忘れちゃうことも、みんな、自分で決めてるんだよ。

なぜなら、地上で、体と心を持ち、人生のすべてを思いっきり味わって、

笑ったり、怒ったり、泣いたりして、あっちへぶつかり、こっちへぶつかりしながら、手探りで生きていく。

それ自体が、素晴らしいことなんだ。魂の成長につながるんだよ。

人生は先がわからないから、おもしろい。

ゲームや漫画や映画や小説とおんなじさ。

誰かに結末をバラされたら、ちょっと、つまらなくなっちゃうだろう。

本来は、人生もそういうものなんだよ。

でも、まあ、みことちゃんの頼みだし、この際、かたいことは、いいっこなしだ。

なんでも、教えてあげるよ」

「うわあい。ありがとう!」

おじさんは、みことちゃんの目の奥をのぞき込むようにして言いました。

「お空の上で知ったことは、みことちゃんの“お役割”や、“光の使命”にきっと役立つだろう。

そして、みことちゃんが、気づいたことをみんなに伝えてくれたなら、きっと、たくさんの人が助かるだろう。

そうしてくれたなら、わしは、とっても嬉しいよ」

白いヒゲのおじさんの姿がふわっと大きく輝くように見えだしました。

おじさんは、深く響きわたる声で、楽しそうに言いました。

「今、地上は、“魂の目覚めの時代”に入っている。

たくさんの魂が目覚めて、『お空の上で決めてきたこと』を果たしていくんだ。

目覚めた人は、必ず、幸せに、豊かに生きられる。

するとね。その人がそこにいるだけで、周りの人は気づけるようになる。

『そうか! 幸せに、豊かになるには、こう生きるといいのか!』ってね。

今、一つでも多くの魂が目覚めることが、美しい地球の未来のために、命のために、どうしても必要なんだ。

だからね、わしはこの際、大サービスしちゃおうかな、と思ってる。

なんでも教えてあげようね」

「おじさん、ありがとう! だーいすき!!」

みことちゃんが白いヒゲのおじさんに抱きつくと、おじさんは、ちょっとくすぐったそうな顔をして、身をよじっています。

「これこれ。それじゃあ、まず、こうしよう。

“みことちゃんが気を失ってから、地上時間で5分後に、みことちゃんは、地上の体の中に戻る”というふうに、決めておこうね。

家族のみんなのためにもそうしよう。

こっちの世界は地上時間は関係ないから、安心して、ゆっくりしていっていいよ。

さあ、何から教えようかな」

「えっと、じゃあね。最初の質問ね。

この前、ビートルズのお話を教えてくれたでしょ。

私、大きくなったら、ビートルズみたいに、世界中の、たくさんの人が楽しくなって、元気になるようなことをやりたいんだ。

大好きなことをやって、夢を叶えるには、どうすればいいのか知りたい!」

そう言いながら、みことちゃんは、ずっと前、車に乗ってキャンプに行くときに、カーステレオでかかっていたビートルズの曲を思い出していました。

底抜けに陽気な曲で、「オブラディ オブラダ」という歌です。

『ある男と女が出会い、愛し合い、

子どもが二人生まれ、庭で駆け回っている。

オブラディ オブラダ

人生は続くよ、そして人生は続く』

そんな歌だと、パパは言っていました。

車の中で、その替え歌を、きょうだい全員で大合唱しました。

「パパのおなら

くさい~よ

パーパのはくさ~い」

お兄ちゃんの作詞です。

ママもパパも、とてもおかしそうに笑っていました。

ママが今よりずっと元気で、パパとママがもっとなかよしだった頃のことです。

「みことちゃん」

白いヒゲのおじさんは優しく言いました。

ハッとして顔をあげると、おじさんと目が合いました。

そこにはキラキラ輝く目がありました。

「みことちゃん。みことちゃんなら、きっとできるよ。簡単だよ」

(物語7ここまで。物語8につづく)

コラム 自分の本質を悟ると人生から困難が消えていく

「前世療法」、「アルケミスト」、「ザ・シークレット」、「アウト・オン・ア・リム」「聖なる予言」など、数々の「精神世界の名著」を翻訳し、日本に紹介してきた、翻訳家の山川紘矢先生・亜希子先生ご夫妻。

 翻訳された書籍の累計は700万部を優に超えるそうです。

 ある時、取材をしていたら、実は、お二人は「精霊の語りかける言葉」を聞くことができるのだと聞いてびっくり仰天したことがあります。

 サンジェルマン伯爵、聖フランチェスコ、イエス・キリストといった、目に見えない存在の声に導かれながら、山川先生ご夫妻は、心の世界のお仕事をされてきたのだそうです。また、亜希子先生は、翻訳のかたわら、約700人の過去生を見ることもされてきたそうです。

 山川先生ご夫妻に取材し、「前世を知って幸せになる本」という本を編集していた時に、ご夫妻が、僕に「驚くべきこと」を教えてくれました。

「人は、自分の本質が、体でも心でもなく、

魂であることを想い出すと、“円滑状況”に入ります。

自分の本質を悟ると、人生から困難が消えて行き、

人生がとてもうまく流れるようになるのです。

これを“円滑状況”と言います。

なぜなら、人生の困難は、自分の本質を知るために起きてくるからです。

自分の本質を一度悟ってしまえば、学びのための困難は必要なくなります。

何か問題が起きたとしても、大難が小難に変わるし、

前向きに乗り越えられるようになります」

(「前世を知って幸せになる本」マキノ出版)

 「円滑状況に入るコツ」として、山川先生ご夫妻は、次のような項目を挙げています。

●あらゆる困難が消えていく「円滑状況」に入るコツ

今の自分を100%受け入れる

今の自分の周りの状況も100%受け入れる

自分の本質を知る

宇宙とつながっている感覚を持つ

自分を愛する

自分をゆるす

自分に優しくなる

他人をゆるし、愛し、優しくなる

周りのすべてにも同じようにできる

西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万を記録。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/

書籍「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)

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