胎内記憶を持つ子どもたちから教わったことを元に書いた物語「あなたがお空の上で決めてきたこと」。
ブログで大好評をいただいた内容を書籍(永岡書店刊行)にした時に、ページの関係でおさまりきらなかった書き下ろしのパートも含めた完全版を、こちらでお届けしていきます。
3●命はみーんな、つながっているんだよ!
お空の上に「プチ里帰り」したみことちゃんは、「白いヒゲのおじさん」とお話しして、大好きな家族の元へ、戻ってくることにしました。
目を覚ましてからは、病院のお医者さんもびっくりするほど、奇跡的なスピードで回復することができました。
退院の日、家族みんなで、おうちに帰る車の中は、どんなに明るかったことでしょう。
みことちゃんがおうちに駆け込もうとすると、玄関先で、白い大きな犬が待っていました。
「ワン!ワン!」
白い犬は嬉しそうに吠えます。ふさふさの真っ白なしっぽが揺れています。
「あら、かわいいワンコちゃん!
パパ、ママ、このワンコちゃん、どうしたの」
パパとママは、みことちゃんのことを心配そうに見ています。
お兄ちゃんが慌てて言います。
「みことちゃん、病院で寝てる間に、
まさか、『オジサン』のこと、忘れちゃったんじゃないだろうな」
「オジサンって? この白い犬のこと?」
お姉ちゃんが、みことちゃんとつないだ手を、ぎゅっと握りしめて言います。
「やあね。とぼけちゃって。
みことちゃんが名付け親でしょう。わたし反対したのに。ね、オジサン」
「ワン!」
と、ワンコはもう一度、元気よく吠えると、大きな犬小屋の前で、ぐるぐる回って喜んでいます。
みことちゃんが近寄っていくと、みことちゃんの手をペロペロと舐めました。
「よしよし、あなた、オジサンていうの?
え……。オジサンって、白いヒゲの……まさかあなた?」
そんなみことちゃんを見て、パパはつぶやきます。
「一時的に、脳が混乱してるんだと思うよ。
1週間も気を失っていたわけだから。
似たような話、前に本で読んだことがある」
「そうかしら。本は、本よ。
すぐお医者さんに電話したほうがいいんじゃない」
そういうママの顔色は、ずいぶん青白くなっています。
突然、みことちゃんの内側に、聞き覚えのある声が響きました。
「そうだよ、わしだ。白いヒゲのおじさんだよ。
ちょっと、みことちゃんの近くにいてあげることにしたよ。
どうじゃ、わし、きれいな毛並みしてるだろう」
「わあっ!!!」
みことちゃんは、この白いワンコを、もふっと抱きしめました。
「ごめんごめん、もちろん覚えてるって。
白いヒゲのオジサン、ありがとう。ここにいてくれたんだね。
寂しかった? ごめんね」
「おいおい、また、みことちゃんのボケが始まった。
でも、病気が治ったばかりだから、ヘンなことを言ってもしょうがないか」
お兄ちゃんがホッとした笑顔で言いました。
みんなは、笑いながらおうちに入りました。
その夜は、みんなで、にぎやかに退院祝いをしました。
みことちゃんの大好きな、釜飯と、なめこのお味噌汁、トマトサラダを、ママが作ってくれました。
パパは、鯛にハーブソルトを振って、焼いてくれました。
「わあ、おいしい~!!!」
でも、みことちゃんは、お祝いの最中、ママの顔色がとても悪いことに気がついていました。
フラフラしているし、時々、別の部屋にママだけ引っ込んでしまうのです。
翌朝、みことちゃんは、白いワンコのオジサンと一緒に、お散歩に行きました。
オジサンは早速、話しかけてきました。
「あのな。こないだ、お空の上で教えてあげたこと、おぼえとるかい」
「えっと、なんだっけ?」
「やっぱり忘れとるんじゃの~」
「あ、ごめんね」
「まあ、いいんだよ。わざわざ、地上に来たかいがあるわい。
そのかわりと言っちゃなんだけど、わしのお散歩、毎日ちゃんと頼むぞ。
すっごく楽しみなんだから」
そう言って、白い犬のオジサンは、ちゃかちゃか歩いていたかと思うと、鼻の前を飛んで行った白いチョウチョを追いかけました。
みことちゃんは、オジサンに引っ張られて歩きます。
「あのさぁ、オジサン。私、たまごアレルギーがあるわよね。
……ママも、具合が悪そう。
どうして、地上では、病気になるんだろう。
どうやったら治るの」
「それを、こないだ、お空の上で、伝えたんだよ。
まず、病気というのは、決して、悪いものではないんだよ。
そりゃあ、その真っ最中は、しんどいのはわかる。
とっても、つらいよね」
「やだあ。どういうこと?
そんなわけないでしょ。
病気が、悪いものじゃないだなんて。
治る方法を知りたいのに」
チョウチョと遊びながら、オジサンが言います。
「病気はね、命が、バランスを取ろうとして、一生懸命、働いている姿なんだよ」
「バランス?」
「そうさ。まず、一番、大事なことから言うよ。
実はね。
命は、みんな、神様なんだよ。
命は、光も闇も、全部を包み込むものなんだよ。
命が愛なんだよ。
それが一番、大事なことなんだ。
そのことを、しっかり、想い出せば、あとは自然とうまくいくんだ」
「それなら、私、覚えてる。
お空の上では、みんな、それ知ってるもんね」
「そうさ。命という神様が、バランスを
取り戻そうとしてくれている姿が、病気なんだ」
白いワンコのおじさんは、ちゃかちゃか歩いて、公園に入っていきます。
「チョウチョの中にも、神様がいる」
オジサンは、公園の砂場の前で立ち止まりました。
みことちゃんは黙って、オジサンの言葉を聞きました。
「土の中にも、神様がいる。
池の中にも、神様がいる。
それを本当に思い出して、大切にすることだ」
「うん。わかったよ」
そう答えながら、みことちゃんは、周囲の木や花が、にっこり微笑んでいるのを感じていました。
「肝心なことはね。
自分を大切にすることだ。
みことちゃんは、宇宙にたった一人しかいない、みことちゃんという神様なんだ。
命は全て、つながっている。
自分を本当に大切にできたなら、全ての命を大切にできたことになるんだ。
これを徹底してやるのは、めっちゃくちゃ楽しいぞ」
「うーん。私、そのお話、ちょっと難しくて、わからなくなってきた」
「いいよ。
今はね、病気は、命がバランスを取り戻すための
『自然回復運動』なんだ、ということだけ、覚えておけばいいよ。
自分の命、すべての命からのメッセージなんだよ」
そういうと、オジさんは、急にこちらをキッと見ると、
「見ちゃいかん!!!」と言いました。
「えっ!?」
すると「あのポーズ」をとって、ホカホカのウンチをしたのです。
「ふう~スッキリした」
「やあねえ!」
(物語のエピソード3 ここまで)
コラム「お空の上の記憶を持つ少年」が話してくれたこと
みことちゃんがワンコと会話しているように、僕の長女は、言葉を話し始めたばかりの頃、庭に生えている小さな木と、お話をしていました。
毎日、木に、「~~さん、こんにちは」と、聞いたことがない名前で呼びかけているのを見て、不思議な感動を感じたことを、よく覚えています。
また、彼女は、お空の上にいた時のこと、兄弟とお空の上で会ったことも教えてくれたのです。
けれど、大きくなるにつれて、次第に、そうしたことは話さなくなりました。
ここで、「お空の上の記憶を持つ少年」、いんやくりお君のお話を、ご紹介したいと思います。
尊敬する友人の、斎藤りゅう哉さん(サンマーク出版の編集長)がある日、
「西田さん、命の言葉を話す少年が沖縄にいるんですよ。ゆほびかさんで取材、いかがですか」と、ご縁をつないでくれたのです。
りお君は、生まれつき、心臓と肺に、重い病気があり、生まれた直後から、30回以上も入院と退院を繰り返します。
そしてりお君は、3歳の頃から、「お空の上のこと」について、話し始めたそうです。お母さんはそれを、しっかり書きとめました。
りお君の本「自分をえらんで生まれてきたよ」は、10万部を超えるベストセラーになりました。りおくんの言葉を紹介しましょう。(「自分をえらんで生まれてきたよ」いんやくりお著(サンマーク出版)より)
「赤ちゃんが生まれてくるのは、みんなを幸せにするため。
お母さんやお父さんだけじゃなくて、みんなを幸せにするため」
「人間は死んでも、体がなくなっても、心は残るように、できている」
「ぼくが病気で生まれたのは、ずっとずっと、幸せになるためだよ。
だから、ぼくが泣いてもママは、かわいそうって思わなくてよかったんだよ」
「命は全部、つながっている」
「ぼくは、病気を選んで生まれてきた。希望を持って、生まれてきた。
心を感じることで、勇気が出る。それがつまり、希望のことなんだ」
りお君(当時11歳)は、ゆほびかのインタビューでは、次のような言葉を語ってくれました。
・人間はどうしたら幸せになれると思いますか?
りお君 人間は今でも、もうじゅうぶん幸せなんじゃないかなって思うよ。
・りお君は、人間が生きていく上で、一番大事にしなくてはいけないことは、なんだと思いますか?
りお君 「ぬちどぅたから」。
沖縄の言葉で「命こそたいせつな宝物」っていう意味だよ。
生きているのは、それだけで大きな奇跡だよ。
あたりまえって思っている人も多いけど、奇跡なんだよ。
ぼくは赤ちゃんのころから、いろんな人に助けてもらったから、生きてこられたと思う。だから、この命を大切にして、みんなに恩返ししたいな。
りお君の言葉は、心の奥深くに響きました。
原稿を読んで、「これは本当のことだ!」と胸が震えたのです。
命がぜんぶ、つながっているっていうのは、本当のことだ。
みんな、ずっと、ずっと、幸せになるために生まれたんだ。そのような、静かな想いが湧き出してきました。
そしてこの「宝物の命」を、大切につないでいくためには、いったい、何ができるんだろう? とも、感じたのです。
〜〜〜
胎内記憶をもつ子どもたちは、次のように語っています。
●子どもたちが、この世界に生まれてくる理由
1)子どもは、親を選んで生まれてくる。親を助けるために生まれてくる (特に母親を助けるために)
2)子どもは、マイナスの連鎖を終わらせるために生まれてくる(闇を光に変えるために)
3)子どもは、自分自身の人生の目的を達成するために生まれてくる。親だけでなく、みんなを幸せにするために生まれてくる(地球を愛で包むために)
(その4に続く)
西田普(にしだあまね)
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。作家、(株)光出版 代表取締役。月刊『ゆほびか』編集長を務めるとともに、 季刊誌『ゆほびかGOLD幸せなお金持ちになる本』を創刊し、編集長を兼務(〜2019年9月、ともにマキノ出版)。書籍ムックの企画編集も手がけ、累計部数は300万部を突破。健康・開運をテーマしたブログがアメーバ人気ブログランキング「自己啓発ジャンル」で1位を獲得。現在、アメーバオフィシャルブログ・プロフェッショナル部門、月間のアクセス数は315万を記録。物語創作がライフワークで、第1作の「あなたがお空の上で決めてきたこと」(永岡書店)が好評を博している。ブログ「自然に還れば、健康になるでしょう」https://ameblo.jp/toru-nishida/
*この物語はフィクションです。実在の人物とは一切関係がありません。